妄想旅行〜ハイボールと+都会の並木道〜前編【閑話】
より道
拝啓
今日は前回好評（酒飲み男性陣に）だった妄想旅行へと出かけたいと思います。
今日みたいな晴れ渡る空、風に揺れる新緑の木々の下なら、やはりすっきりした味わいのお酒がいい。
ただ、爽やかな中にも風味ときりっとしたボディーが欲しいとこ。
そうなると、ハイボールに”アレ”を入れると良さそうだ。
よく冷やしておいたグラスとウイスキー。
無駄に氷を溶かさないために。
その肝心の氷は先日のZOOM飲みの、あまりがあったな。
手早くそれらをステアし、立ち上る気泡を眺めながらベランダへ出る。
もちろんイメージを妄想の中に持ち込む意図もあるが、もうひとつ理由がある。
それはまた妄想の中で愉しむとしよう。
欅（けやき）の並木道と骨董屋
前日の仕事は、ちょっとしたトラブルで21時まで続いた。
クライアントが撮影用小物の手配を忘れてしまったのだが、たまたま近所のアンティークショップに似たものがあったので、特別にお借りしてことなきを得た。
出張で仕事に来ている場合、土地勘もないし、人の繋がりもほとんどないのでトラブルがある場合、現地のスタッフに頼ることになるのだが、今回のクライアントの担当の女性は機転が効くし、判断、行動力も早い。
アラン・ミクリ（本人談）のセルフレームのメガネと、胸まである黒髪のストレート、第二ボタンまで開いた白のカッターシャツに黒のスキニーパンツに、エナメルのハイヒールという、見た目にバリバリのキャリアウーマンぽい。
ただ、大きくクリっとした目、スッとした鼻だちにぷっくりしたルージュの唇。
かわいい系の美人だ。
しかも、身長は170cm近くはあるだろう。この人がモデルでもいいくらいだなと素直に思った。
しかし、美人は妙に緊張する。
いつもの悪い癖で、目を見切れずに、ファインダーを覗いて集中してます感を出しながら撮影を進めていったのであった。
そんな、出来事も乗り越え無事撮影も終え、機材を片付けていると、その彼女が借りてきた古い椅子を返しに行こうとしていたのが見えた。
「手伝いますよ」と声をかけると
「すいません、いいですかぁ？これ意外と重くって」
「アンティークの椅子って合板じゃないから重いですもんね。僕持ちます。」
とやりとりをし、彼女にドアやエレベーターのスイッチを押してもらいながら、外に出た。
そこには綺麗にライトアップされた欅のきが整然と並んでいる。
4車線挟んで対向も同じだ。ここは欅の並木通り。
風にざわざわ揺れる木々のおとを 聴きながら30mほど歩いた場所にあるアンティークショップに着く。
[CLOSE]
まあ、そりゃそーだ。
「また明日来ましょうか」と僕が提案した。
「そんな、私しときますんで」と答える彼女に
「明日1日フリーにしてるから、ここら辺の散策ついでにお手伝いできるんで」
「そうですか？助かります」と彼女が応えた続けざまに
「じゃあ、明日11時ごろビルの入り口前で」と言われ
「了解です！じゃあ、椅子を現場に戻して帰りましょうか」と元気よく答えてしまった。
そう、これは完全に彼女を誘う口実であるのは言うまでもない。
今夜は一人旅ならではの、ぶらり飲みの予定だったが大幅変更だ。
すぐに帰って明日の準備だとそそくさと帰っていく。
ただ椅子を1脚返すだけで終わるかもしれないのに。。。。
男とは、かくも単純な生き物であった。
続く
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