naographの徒然なるまま

きた なおや による その日暮らしの日記

妄想旅行〜ロゼワイン+浜辺のカフェ編〜【閑話】

 

そうだ、旅をしよう

 

もう4月も半ばを過ぎ、桜の木々も、あっという間に新緑の葉が茂り、背伸びをするかのように元気に開いている。

春風に乗って、その若々しい葉の少し甘い香りが窓から運ばれる。

こういう日は、セラーから常備のワインボトルと、冷蔵庫から見つけた賞味期限ギリギリのアテを集めて近くの公園に...

といつもならなるのだが、今年はそうもいかない。

まあ、広い公園だし、人から離れたところに座って楽しめば問題ないと思うのだが、世間様の目には不謹慎としか映らないし、近隣の住人や友人に写真を撮られ、SNSで拡散されてはコロナどこの騒ぎじゃない。

ならばどう楽しむか。

 

変態人生41年は伊達じゃない。

まずは窓辺に小テーブルを置く。

その隣にあるセラーから、ワインを選ぶ。

指で、数本寝かせてあるワインをなぞる。
「ど.れ.に.し.よ.う.か.な...」このフレーズは何年ぶりだ?

今の子らも使うのだろうか?
そんな意識を脱線している間に一本のボトルを指差していた。

やはり、春を感じるなら...

よく冷やそう。

頃合いになったら、さっきのテーブルにグラスを用意。抜栓。

少し大きめなワイングラス(これも冷やしておいた)にゆっくり注ぐ。

さて、ここからはイメージに入る。

今の季節、これを飲むなら...

 

〜海と野良猫〜

そこは、市街から外れた海の町。

一人旅行で訪れた僕は、カメラを片手に、MAPには載っていない写真映え(ばえるってやつ)する空気感を求めて歩いていたが、すっかり迷子になったようだ。

 

あまり舗装が整っていない、凸凹の石畳の坂をゆっくり歩く。

お洒落用の靴のため歩きにくいし、尚且つ踵が擦れて痛い。

歩みを止めた僕の左手目下には、この季節らしいパステルブルーの海が広がる。

波は静かだ。

そう一息ついて再びゆるやかな坂を上がる。

春とはいえ、今日は日差しも眩しい。この時期の紫外線てやつは夏に負けず劣らず強い。

あぁ、こりゃ多分日焼けするな。。と心中おもいながら、額に滲む汗を白い麻のシャツの袖で拭う。

”キンキンに冷えたビール!”

もしくは、10数年ぶりにレモンスカッシュとかもいい。

とにかくスカッと爽やか...(コンプラ発動)なやつでこの渇きを潤したい。

そう考えているうちに坂が終わり間近。
ふと目の前に、白い漆喰と木作りの一軒家が飛び込んできた。

よく見ると、そこはカフェのようだ、

これはありがたいと、少し急ぎ足で白いカフェに近づいた。

赤いペンキで縁取りされた看板には

”Gatto Selvatico”

「ガットセルバティコ?」イタリア語で”野良猫”だ。

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春らしいパステルブルーの海が広がる

 

これまた赤く塗られた木の扉を開けると、カランカランとベルの音が鳴る。

大きなカウンター席と小さな机が3つ並ぶ。外観のイメージよりも、こじんまりとしたお店。

おそらくマイホーム兼カフェなのだろう。

カウンターの奥には厨房は見える。何かを煮込んでいるのだろうか。

スパイシーな香りが、ドアを開けたことによって流れてきた。

これはいよいよ腹も減るな。

どうやら店の店主は、料理の仕込みに夢中で気がついていない。

「すいませーん、空いてますかー?」と少し大きめな声で呼ぶと、

奥の厨房から背の高いがっしりとした、少し不機嫌そうな男性が顔を出す。

店主は困ったような顔で「いらっしゃい、お一人ですか?」と尋ねるので、

「はい、いいですか?」と答えた。

「お好きな席へどうぞ」やはり店主はどこか困り顔。
他にお客はいない。まだ仕込み時間だったのかもしれない。
それは困り顔も納得だ。

タイミング悪かったかなと、思いつつも喉の乾きには勝てない。

お言葉に甘え、席を選ぶ。

小さな窓があるテーブル席。窓にはさっきの海が見える。

まるで窓枠が額縁で、海の絵を飾ってあるかのよう。

ここに決めた。

春色ワインと春色の魚

 開けられた窓からは潮と春の緑の香りが吹き込む。

白いレースのカーテンがゆらゆら揺れている。

席に着くと、店主が早速オーダーをとりにやってきた。

「お飲み物はどうされます?」

「ええっと、汗もかいたし、冷たいビールにしようかな?」と答える

店主は「もちろんありますよ。冷えたワインなんかもこの季節におすすめですよ」 

とさっきと違い、ワインというフレーズでにこやかな表情になる店主。

「おっ、それもいいですね。どこのワインですか?」と少し興味の出てきた自分。

「イタリアのシチリア島で作られたロゼです。爽やかな酸味でスッキリしますし、ほのかに花やベリー系の香りもするので飲みやすいです。もちろんよく冷えてますよ!」

と満面の笑みで答える店主。

この人、よっぽどワインが好きなのだろう。

さっきの困り顔はすっかり消えている。

そこまで勧められたら流石に飲みたくなるわけで。

「じゃあ、それを1杯。あとそれに合うのあります?小腹も空いているので」

「わかりました、ワインに合うおすすめでいいですか?」

「おねがいします」

こういう時は見栄を張らずにおすすめがいい。

ワインの味がわかっているのだ。

おすすめするくらいだ、外すわけがない。

カウンターからワインを注ぐ音が聞こえる。

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フェウド・アランチョ・ロザート。イタリアのロゼ。フレッシュな酸味とほのかに香るベリーが特徴。

「お待たせしました」とテーブルに置かれたロゼは
まるでサーモンピンクのように鮮やか。

グラスの周りは白く結露している。よく冷えている証拠だ。

顔にグラスを寄せると、スミレの花のような甘酸っぱいノートが立つ。

口に少し含むと、最初柑橘系の酸味と軽い苦味を一瞬感じるが、すぐにまろやかな甘みに変わる。余韻はベーリー香が残る。

若々しくて華やかな印象。

例えるなら、年は16~19歳、女性。天真爛漫でいつもみんなの輪の中で笑顔が絶えない。

ノースリーブのワンピースが似合っていて、春風を受けながら翔けていく感じ。

うん、まあ、男子校出身の僕には、その頃の女子という存在はほど遠いものだったから、あくまで厨二病的「イメージ」なのだが。

とにかく、この窓から入る春風とよくマッチしている。

ちょうどいいな。

と感じている間に店主が料理を運んできた。

「サーモンのお刺身です。無農薬で育てられたオリーブオイルと、天然の岩塩と香草で自家製ハーブソルトを用意しました。オイルに塩を溶かして、お刺身に少しつけて召し上がってください。」

店主は笑顔だ。

僕がロゼを飲む表情に満足したらしい。
ピンクのワインにピンクの魚。

いよいよテーブルが春色真っ盛り。

一切れいただく。

少しほろ苦いオリーブの香りに、自家製ハーブソルトの香りが重なり口に広がる。

脂ののったサーモンはともすれば、刺身だとしつこいものだが、それをしっかり和らげ、アミノ酸の旨味を引き立てている。美味い。

まだ、舌の上にサーモンとオイルソルトの旨味が残る間に、ロゼを流し込む。
脂はワインの酸味と溶け合い、ほのかな苦みもオリーブとブドウは仲良しだ。最後の旨みは、ロゼならではの、まろやかさとマッチしてゆく。

それに添えるかのように、窓から注ぐ潮風とそばに立つ木々の新緑の甘い香りが、口の中の味わいを仕上げして整えていく。

まるで、奇跡的なタイミングで出会い、恋に落ち、そして結婚するかのように素敵な瞬間。

「マリアージュだな、これは」

こんなにシュチュエーションとお酒と食事が合う事は稀だろうな。

久々に訪れた幸せの余韻に浸っていると、突然窓に大きな影が現れた。

流石にビクッとなって現実世界に戻されたが、すぐになごんだ。

この匂いに釣られたか、猫が窓の淵に座り、眠そうな目でこちらを見ている。

さては、サーモン目当てだな?だが、断る。これは俺がたのしむんだと、猫の目を見てテレパシーを送る。

諦めたのか、猫はそこに座り込み、窓枠からダラーんと尻尾をたらして外を見ている。

グラスのワインは吸い込まれるようになくなり、僕は店主が先ほど開けたボトルを1本頼むことにした。非常に満足そうな顔の店主。気に入ってもらえて嬉しいようだ。

こんな出会いはそうそうない。楽しまなくっちゃ勿体ない。

海の満ち引きのようにサーモンとロゼワインを繰り返し、外の景色を楽しみながら、まったりとした時間を過ごす。
遠くでチャペルの鐘と「おめでとう!」という声が微かに聞こえる。

あちらでも”マリアージュ”が行われているらしい。

共に幸(こちらはワインと魚の)あらんことを!

 

 

最後に

そんな、イメージをしながら楽しむ。

これも一興だ。

たまに子供の遊び声で現実世界に引き戻されるが、気にしない。
また、妄想世界に戻ればいいこと。

さて、次はどのワインにしようか。

現実の僕は、すでに1本開けていたようだ。

 

 

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